
昨年物議を醸しに醸したショパン・コンクールの結果。ナゼに◯◯◯は受賞にカスリもしない???などなど、わたくしも色々思ったものでした。特に、クルティシェフはクジ運に恵まれなかっただけではないのか、と今でも声を大にして言いたいくらいです(同様の納得行かない事例にこないだのチャイコンでのロマノフスキー)。
アヴデーエワはコンクールの配信やその直後の来日公演の放送なんかを見ると、凄いとは思うんだけど感動する、というのとは別、とでもいうような、研究の発表を聞いて「そこまで追求するなんて凄い」でとどまるようなそういう印象を持っていました。
が、やはりナマで聴いてみようというのと、あとはプログラムの組み方がとても興味深かったので東京公演に行けなかった分を他所で聴くこととなったのです。
ホクト文化ホールは少し前までは長野県民会館だったそうで、大・中・小の3つのホールを擁する建物のロビーには現オーナーによるきのこ学習コーナーなんかもあってちょっと面白い。ホール自体は地方都市によくあるタイプのものでした。
実際の演奏は、楽譜を徹底的に読み込んでそこからまた計算し尽くして楽曲を組み立てることによって作曲家の意図したポエムや歌心が再生される、というタイプで実にわたくしの好みのものでした。雰囲気に任せて弾き飛ばすようなことはせず、管理不行き届きな音やフレーズは出さない。ラヴェルのソナチネは特に彼女の人工美とでもいうような演奏スタイルと楽曲の性格が相まって実に素晴らしかったです。1楽章の緊張感の極みといったところで携帯電話が長く鳴り続けてとても残念だったのですが、ショパン・コンクールの本選で照明が落ちても動じなかった姐さんは今日も流石の集中力でした。
全体を通じてお客さんのマナーは少し残念でした。終始何かを書いてその紙をバサバサいわせる人がいたりなど(お前はエア審査員かよ…)。それでも後半のリストプログラムは彼女の集中力に会場が収斂されていくような雰囲気がありました。タンホイザー序曲みたいな曲だと演奏する側もついつい熱が入って、というようなことがありがちですが、最後の最後まで彼女は作曲家に誠実に仕える立場で在り続けて、そういう精神面のコントロールも本当に凄いと思いました(コジュヒンもそういうかんじですね)。
アンコールはショパンのマズルカを3つ。アンコールでも楽曲をその場のメランコリーやソノリティのおもちゃにせず、演奏それ自体もそうですが、音楽家としての姿勢に大いに感服させられました。
ショパン・コンクールの覇者はドイツ・グラモフォンと契約するのが定番ですが、彼女はまだ録音の話題がないですね。今のところ出ているCDもコンクールの実況録音なわけで。そういう慎重さ(?)も今後が楽しみだ、の要素です。それとマスタークラスが開催されることがあったら是非聴講してみたい。
今後も末長く追いかけたい音楽家の一人にまた出会うことができました。